なぜピストのクランクは短いか?

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165~167.5mmが多い

ピストで使われる一般的なクランク長さは、165~167.5mmとロードに比べて短いのが一般的です。

実際にメーカーから販売されているクランクの長さは、ピストが175mmまで、ロードが180mmまでとなっており、ピストはロードより5mm短いのが当たり前と考えさせられます。

100回転以上は普通のこと

ピストに使われるクランクが短いのは、ピストが回転重視の競技だからです。ロードレーサー競技は60~130回転ぐらいの間で、平均して80?100回転で回している事が多くなります。

それに対してピスト競技は、中長距離系の種目でも100回転以上、スプリントなどの短距離種目では150回転以上にも達するなど、非常に高回転になる場面が多く、かつその時間が長くなっています。

変速機がなく、スピード変化が激しいから

これはピストレーサーに変速機がないことと、ピスト競技がとても速度変化の激しい競技であるためです。

変速機が無いということは、速く走ろうとすればクランクを速く回し、遅く走ろうとすればクランクを遅く回すしかありません。また、競技の特性上、止まっている状態からいきなりMAXスピードまで加速したり、スピードが頻繁に上がったり下がったりします。このように急激に速度を上げたり下げたりしないとレースの流れに対応できません。

この特性に対応しようとすれば、クランクは回しやすくなければなりません。クランクを回しやすくするなら短くする方法が一番効果的です。そのため、ピストのクランクはロードレーサーより短くなっています。

しかし、クランクが短いとテコの原理が効かなくなるため、重いギアが踏みにくくなります。ならば、重めのギアと長めのクランクでもいいのではないかとなります。確かにそれでも同じに思えますが、やはりクランクが長いと回転を一気に上げにくくなります。

ピストでは脚の長さより競技で決める?

そもそもロードの世界で見れば、脚の長さでクランクの長さが決まるのですが、ピストでは競技によって決める考え方があります。レースをするなら短距離なら167.5mmまで、中長距離ならそれ以上でもあり、というのが一般的です。

スプリントなどの短距離は、脚の長い海外選手でも一律165mmという話もあります。本当にこれがベストなのかは知りませんが、個人的には、脚が長ければロードのように基準の長さより長めを使ってもいいと思います。

競技による長さの違い

4km個人追い抜きだと、スタート加速が1kmTTよりゆったりで、なおかつ最後まで一定ペースで走ります。スピード変化がそれほど激しくないので、長めのクランクの方が走りやすいという人もいます。

一般にはあまり関係ありませんが、1時間走り続けるアワーレコードでは175mm等の長めのクランクを使うことが多くなります。

競輪選手でも好みやスタイルで違うようです。歳をとって回転力がなくなった選手が、重めのギアに長めのクランクで回転力をカバーしたり、ただ単にフィーリングで長いクランクを使っているという選手もおそらくいるでしょう。

結局は自分が走りやすければそれでよし、ということです。ですから、街乗りでピストに乗る場合、何も165mmにこだわる必要はありません。175mmを使っても問題はありません。競輪選手でも175mmを使う人がいるそうです。

ただ、ロードを改造したピストでは、BBの位置が低いため、長いクランクだとさらに地面に擦りやすくなるかもしれません。